■最近のTOPICS

<2004年のトピック>

 リメイクという名の偽造品


猛暑だった今年の夏には、「リメイク品」、「一点もの」というふれこみで、パッチワークを施したカラフルなタンクトップが登場。正規ブランドで、このような商品は一切製造していない。胸には「ラコステ」を真似たワニのマークや「ポロラルフローレン」風のプレイヤーマーク等がワンポイントで入り、一見真正品を加工したブランド品に見える。いかにも着古したポロシャツやTシャツの生地を少しずつ使用しており、色の組み合わせや使用される生地によってそれぞれ異なるため、確かに一点ものとは言える。インターネットオークションや雑貨店などで販売が確認された。購入者は、手作りのリサイクル品と信じてしまうが、実際にブランドメーカーが商品を確認してみると、胸のロゴマークまで明らかな偽造品だということが判明。しかも、意外に大量生産の様子で、主にアジアの国々などから輸入されていた経緯があったとのこと。結局、商品は各地の税関で没収、廃棄されたり、すでに販売した者に対しては、ブランドメーカーより販売停止を求める通告書などが送られるなどして、騒動は終息した。


 オークショントラブル: 海外からの発送にご注意!


「完璧思考の方は、遠慮して下さい」という商品をネットで落札したら、実は、海外からの発送でした。そして、商品の到着を待つ間に税関で止められて没収されてしまいました。結局、代金は支払ったのに、商品が手に入りません。どうしたらよいですか?

インターネットオークションでは、日本に在庫を持たず、海外から直接発送するユーザーも増えています。落札者は、出品者が指定する国内の口座に代金を振り込んだ後、海外から直接送られてくる荷物を受けとる事になりますが、小口郵便で送られてくる商品が偽造品だった場合、税関の検品で没収されてしまうこともあります。出品者は、落札者から代金さえ受け取ってしまえば、商品が落札者の手元に届かなくても、関係ありません。税関はもちろん不正商品を没収したら滅却処分。結局、落札者だけが損をすることになるのです。また、何かあっても販売者の所在がつきとめにくいので、最近は、偽造品流通の常套手段になっています。

コピー品だと知っていて落札するのは消費者にも責任がありますし、たとえ知らなかったとしても、万が一の保証が全くないような「ノークレーム、ノーリターン」や、販売者から「○○の方は、遠慮して下さい」と注意を促されるようなコメントのある商品に安易に入札をするのは、軽率かもしれませんね。商品が手にとって確認できない分、商品の説明や詳細など、十分に吟味して入札をしていただきたいものです。また被害にあった場合でも、返品交渉は、もちろん可能だと思いますが、おそらく出品者と連絡が取れて、返品に至る可能性はかなり低いと思います。まずは、現状をよく把握し、次回からのトラブル回避に生かしてください。



 偽ブランド品の対策強化: 個人使用でも持ち込みダメ!

政府の知的財産戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)は、527日、会合を開き、個人使用目的であろうとも偽ブランド品を日本国内に持ち込むことを禁止すること等の知財保護への対策強化をもり込んだ「知的財産推進計画2004」を決定した。不正商品は犯罪組織の資金源になっているため、水際での対策を強化する。関係する省庁は、本年度中に通常国会に商標法など関連法の改正案を提出等の方策を行う方針である。

「知的財産推進計画2004」では、その他、税関の監視体制の強化、マーク切除による脱法行為の禁止、インターネットを利用した侵害行為の取締の強化なども盛り込まれている。

解説:

個人でも持ち込み禁止ってどういうことでしょうか?

現在は、業者が販売目的で輸入する偽ブランド品の持ち込みは禁止されていますが、販売目的ではなく個人使用の目的で、海外旅行客が偽造品を国内に持ち込もうとした場合には、税関で自主的な廃棄を求めるだけで、偽造品の数量によりますが、法的に禁止する根拠はありません。このため、今後はたとえ個人使用でも偽ブランドの所持・輸入を禁止するなど、規制を強化した法改正等を行い、偽造品が社会悪であることを明確にして、国民の意識変革を促そうということだそうです。1993年の世界貿易センターの爆破事件でも、ニューヨークで販売されていた偽物のTシャツの売り上げがテロリストの資金源の一部になっていたと聞きます。何気なく商品を購入したと思っている善良な市民が、事実、犯罪組織の資金を支援し、とんでもない凶悪犯罪に加担していることになるのです。偽造品対策が犯罪防止に効果的だということを国民に広く訴えていく必要があります。

ユニオン・デ・ファブリカンは、フランスの公益社団法人ですが、何か今回の動きに関係あるのですか?

海外では、フランス知的財産法にロンゲ法と呼ばれる偽造品の個人所有・輸入などを禁止する法律が存在しています。今回の会合に先立ち、ユニオン・デ・ファブリカンは、事前に行われる専門調査会にも参考人として出席し、専門調査会に対して、「フランス法における個人使用目的の輸入等の違法性について」という内容で、ロンゲ法についての説明・意見提出を行い、「偽造品の所持は違法であると言う事になれば、啓発的・抑止的意味では大きな意味を持っていると考察している。特に、日本人の持つ特殊性、法律を遵守する傾向の強い国民性を考えた場合、同様の法律が日本に存在したならばその効力は絶大であろうと思量する。」と訴えてきました。

この他に、ブランド関係で注目すべき点はありますか?

並行輸入や個人輸入と偽った輸入や、個人による小口貨物を利用した輸入が、国内に偽ブランド品が氾濫する原因の一つとなっている現状を踏まえて、これまで以上に水際での税関の取締強化が必要となります。また、商品に付されているマークだけを外して通関しようとしたり、部品だけをばらして輸入しようとする行為が横行していますが、一見では侵害行為とは言い切れなくても、明らかに侵害目的で輸入している行為にも防止策が必要で、その為の法改正・取締強化も盛り込まれています。後は、インターネット経由で行われる大量の偽ブランドの売買に対する対策です。サイト管理者による出品者の本人確認の徹底や、権利を侵害している出品物をサイトから円滑に削除ができるようにする方策をたて、取締の強化を図る方針だそうです。


<2003年のトピック>

 リメイクバッグ大流行!

2003年前半は、有名ブランドのロゴ入り紙袋などを無断に加工したリメイクバッグが大流行。2〜3万円の加工料で、客が持ち込んだ紙袋を使ってブランドのロゴを生かしたデザインのオリジナルバッグをつくるというもので、ビニールコーティングなどを施して、紙袋の強度をあげている。「自分だけのブランド品が安く手に入る」などの理由で関西の女性を中心に大ブレイクし、その後全国に続々と普及した。テレビ、雑誌等でも多数取り上げられ、注文しても「数ヶ月待ち」になるほどの話題となった。業者の多くは、もともとバッグなどの製造や再生加工を行っている小規模な事業所だが、直接店舗で注文を受けたり、インターネットのホームページで宣伝をしたり、サンプルのカタログを配布したりとさまざまな形で事業を展開。

これに対し、各ブランドは、上記の行為は明らかに「商標権を侵害する悪質な偽造品」であり、「商標の盗用・ただ乗り」であるとして、業者側に警告書を送るなどの抗議をしてきた。「ユニオン・デ・ファブリカン」としても、悪質な業者数社に直ちに製造・販売をやめるよう要請書を送った。デザインの開発や宣伝に多大な費用をかけ築き上げてきたブランドのイメージを無断で使用した上、原形から逸脱した商品を勝手に作り、加工代賃と称して不当な利益を得ているのは、個人で楽しむ範囲を超えていると判断。4年前には、ブランド品の包装用リボンを携帯電話のストラップに加工、販売した業者が摘発された刑事事件もある。

既に警告書を受けて、注文の受付をやめた業者も多いが、新たに参入する業者も絶たない。「あくまでも、お客さんからの注文を受けただけ」と開き直る業者もいる。リメイクバッグの存在は、新手の「商標法違反」の事犯として早急な対策が課題となっている。


 インターネットの対応について


現在、当法人のサイトに寄せられる苦情も、インターネット上での偽造品販売が9割以上を占めている。インターネットで販売される偽造品の問題について、ユニオン・デ・ファブリカンは、約2年前からヤフー!、楽天、DeNA(ビッダーズなど)大手プロバイダー数社と個別に協議、偽造品対策に対する現状を指摘した上で、徐々に協力体制を整えてきた。偽造品販売業者の多くは、短期間で次々と名前を変えるため、刑事事件では対応が間に合わないものが多いのが悩みの種。そのため、応急処置として悪質なオークションユーザーのIDや商品について即刻削除するように要請し、偽造品販売を行った業者の退店を求めるなど実務的な作業を協力して行っている。プロバイダーの認識も少しずつだが改善しており、偽造品対策のスピードが上がり効果的になってきた。ただ、抜本的な解決に至るにはまだほど遠いのも現状。プロバイダーと密に連絡を取って、有効な対策を試行錯誤している。


 偽造品の傾向

中国から大量の偽造品が入ってきている。

中国といえば、露店で販売されるような腕時計の偽造品が主流だったが、最近はバッグ類も増えている。中国製の偽造品の特徴は、カバン類に関して言えば、全体的な仕上げや粗悪な材質を使用していることはともかくとして、金具や付属品など細部にわたり表面上は精巧に模倣してあり、一見して判別出来ないようになっている。レベルアップした中国製の偽造品にご注意!


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