■事件簿2007-2

事件簿2007で紹介した大規模なグッチなどのイタリア系ブランドの摘発事件以降、偽ブランド販売事件は店頭・ネット市場においても一時的に減少がみられましたが、バーバリーの偽造品を大量に販売していた事案が発生したりして状況は改善されていません。
又、これまで摘発がされていなかったようなブランドや、ペット服の偽造品が目立ち始めています。
また法改正後の処罰については、量刑も一段と厳しくなっています。


偽バーバリー販売で、中国人留学生逮捕
 (平成19年5月  警視庁小岩警察署)



平成19年5月、警視庁小岩警察署は、「バーバリー」の偽造品をインターネットオークションで販売したとして、大学4年の中国人留学生の男を商標法違反の疑いで現行犯逮捕した。都内の自宅からは、バーバリーやポール・スミスなどのネクタイやシャツなど約500点を押収。男は、中国の上海から商品を仕入れ、インターネットで出品していた。警察の調べに対し、「仕送りが途絶え、学費や生活費を稼ぐためにやった」と供述していた。

結果、懲役1年6ヶ月、執行猶予4年、及び罰金150万円の刑が確定した。

(押収されたコーチの偽造品)



●税関と警察の合同捜査 偽ブランド4,000点押収
 (平成19年5月  
  門司税関博多税関支署・福岡県警察本部・宗像署・中央署の合同捜査)


平成19年5月、警察と税関が合同捜査を行い、偽ブランド品をネットオークションで販売したとして男女3人を逮捕、倉庫から偽ブランド品約4,400点を押収した。

逮捕されたのは、福津市在住の男H(34)と同居の女I(24)、及び久留米市の雑貨商男O(44)の3人。

男Hと女Iは、ドルチェ&ガッバーナの偽ベルトなどをネットオークションで販売していた。また、雑貨商Oは、偽ブランドのペット用の被服を販売目的で所持しており、ネットで販売していたことも認めた。雑貨商Oの保有する倉庫からは、「クロムハーツ」のバッグや指輪、財布など約5,200点が見つかり、いずれも偽造品と判明したため、警察は6月に雑貨商Oを商標法違反の疑いで再逮捕した。

調べによると、男性Hと雑貨商Oは、別々にオークションに出品していたが、過去に5回ほど韓国への買付に同行していたという。

結果、平成19年9月、雑貨商Oに懲役2年6ヶ月執行猶予3年および罰金200万円の刑が確定した。男性Hと女性Iについては、裁判中。

(押収された商品、偽ブランドのペット服)



●偽ペット服販売で卸元の業者逮捕
 (平成19年6月  秋田県警・秋田東警察署)


平成19年4月、秋田東警察署は、インターネットオークションでペット用被服の偽造品を販売したとして、秋田市のペット用品販売業の女(31)を逮捕した。その後、仕入れ先として浮上した横浜市の業者を捜索した。

6月、秋田県警はディオールなど有名ブランドの偽ペット用衣料品を販売したなどとして、横浜市のペット用品販売会社「K」役員の男(32)を商標法違反の疑いで逮捕した。

男は、平成19年2月〜3月、秋田市のペット用品販売業の女(31)にインターネットを通じてシャネルやクリスチャン・ディオール、ナイキなどの偽の犬用衣料品など計12点(約2万2000円相当)を販売し、5月中旬には、経営している横浜市のペット用品店で、9つの偽ブランド計81点を販売目的で所持していた。

結果、女に対し、罰金50万円の略式命令が下された。

(ペット服:バーバリー、エルメス、アルマーニ、アディダスの偽物)



●偽ブランド品販売で、男二人を逮捕
 (平成19年7月  警視庁杉並警察署)



平成19年7月、警視庁杉並警察署は、商標法違反の疑いで、足立区の男(47)と新宿区の男(54)を逮捕した。2月に都内の男性会社員にドルチェ・アンド・ガッバーナ社の偽ベルトを1万2千500円で販売したため。自宅からは、ドルチェ・アンド・ガッバーナ43点の他、ポール・スミス135点の偽造品が押収された。

結果、男に懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、罰金200万円の刑が確定した。

(押収されたドルチェ・アンド・ガッバーナの偽造品)

(押収されたポール・スミスの偽造品)



●偽バーバリ販売3容疑者起訴、会社は民事再生の申し立て
 (平成19年6月)



平成18年12月、バーバリーの偽造品を販売目的で大量に所持していた事件で、平成19年6月、千葉地検は、商標法違反の罪で衣料品販売会社A(横浜市)社長(59)と同社役員2人のほか、法人A社を起訴した。地検によると、同社は2002年11月からの4年間で、偽バーバリー商品約16億円分を販売し、利益は8億円に上るとされている。

また、衣料品販売会社Aは、横浜地裁に民事再生の申し立てをした。負債総額は70億円とみられる。1981年設立、全国のホテルや娯楽施設に出店して業績を伸ばし、昨年三月期決算では、年商67億円を計上していた。全国に78店舗を展開していたが、社長らの逮捕により、対外信用度が一気に低下し、経営継続が困難となったため。


*事件簿2006 平成18年12月
 千葉県警と成田警察署の事件を参照

●偽バーバリー衣料 10万点を廃棄処分
 (平成19年7月)


平成18年12月、バーバリーの偽造品を販売目的で大量に所持していた事件で、平成19年6月、千葉地検は、商標法違反の罪で衣料品販売会社A(横浜市)社長(59)と同社役員2人のほか、法人A社を起訴した。地検によると、同社は2002年11月からの4年間で、偽バーバリー商品約16億円分を販売し、利益は8億円に上るとされている。

また、衣料品販売会社Aは、横浜地裁に民事再生の申し立てをした。負債総額は70億円とみられる。1981年設立、全国のホテルや娯楽施設に出店して業績を伸ばし、昨年三月期決算では、年商67億円を計上していた。全国に78店舗を展開していたが、社長らの逮捕により、対外信用度が一気に低下し、経営継続が困難となったため。

(偽バーバリー廃棄作業の現場の様子)
●偽バーバリー大量販売事件 処分結果
 (平成20年1月)

平成20年1月25日、千葉地方裁判所は、「バーバリー」の偽ブランド事件で、衣料品販売会社Aに対し、罰金1億2、000万円の判決を言い渡した。また、A社の元社長に懲役3年、執行猶予5年、元専務ら2名にも、それぞれ懲役2年6ヶ月、執行猶予5年、懲役2年、執行猶予5年の刑を言い渡した。

裁判官は、「違法な並行輸入商品だと認識し、警告を受けながらも在庫を隠していた経緯は悪質」と判決理由を述べた。

日本の刑事裁判史上、法人に対する罰金額としては最高額の厳しい判決が下されたことになる。



●中央官庁の庁舎内で偽ブランド品販売
(平成19年3月  島根県警と島根県松江警察署)


平成19年3月15日、島根県警と松江警察署は、インターネット上でコーチなどの偽ブランド品を販売したとして、都内の雑貨販売業者を捜索した。同社からは、コーチ、ブルガリ、グッチ、ディオールなどの偽造品が押収された。

業者は東京都内に本社を置く輸入雑貨販売会社Lで、出張販売やインターネットでブランド品を販売していたが、強制捜索後も、3月下旬に中央官庁の庁舎地下1階の展示即売会コーナーで1週間の展示販売を行ったことが判明。その際に販売されたグッチのバッグとコーチの財布各1点が偽ブランド品だったことが確認された。



●偽ブランドのペット服販売で450枚を押収
 (平成19年9月  警視庁深川警察署)


平成19年9月、ペット服の偽ブランド品を販売していたとして、警視庁深川警察署は、東京都渋谷区のペット雑貨店を捜索し、経営者の男(45)ら二人を商標法違反の容疑で逮捕した。また店内から「アディダス」や「ナイキ」のロゴが入った犬猫用衣服約450枚を押収した。調べでは、「知人から頼まれ、2003年ごろから偽ブランド服の販売をはじめた。月に30枚ほど売れた」、「4年間で約250万円の利益を得ていた」などと供述しているという。

(押収されたペット服)



●偽エルメス販売詐欺 2被告に懲役4年
 (平成19年10月  長野・滋賀県合同捜査本部)



「エルメス」のバッグ「バーキン」の偽物をインターネットオークションに出品して現金をだまし取ったとして、詐欺や商標法違反などの罪に問われた東京都文京区の会社員男(42)と元妻(41)の判決公判が長野地裁で行われた。

元夫婦だった両被告は、2006年3月、共謀してネットオークションにエルメスの人気バッグ「バーキン」と偽ってコピー品を出品。落札した京都市内の女性に135万2千円を振り込ませてだまし取ったことを端緒として、余罪などからこれまでに4度逮捕されていた。

調べによると、両被告は平成18年2月から9月にかけて、他人名義のIDでネットに出品し、香港から輸入したエルメスの偽ブランドバッグを正規品と偽って、落札した12人から合わせて約1、220万円をだまし取り、利益は、借金の返済や生活に充てていたという。

9月の公判で、長野地検は、「ネットを使用した同種事案の再発を防止するためにも厳罰を持って臨むべきだ」とし、2被告に懲役6年を求刑していたが、10月の判決公判で裁判官は、「インターネットによるオークションを利用した巧妙かつ悪質な行為」とし、会社員(42)と元妻(41)の両被告に懲役4年を言い渡した。

判決理由として裁判官は、「被害額が多額に上り、弁償もなされていない。ネットオークションなどを利用した同種犯罪への一般予防を考慮する必要もある」と述べ、両被告に「主従の差はない」と指摘し、同じ量刑を科した。


●偽バーキン販売 被告に有罪判決
 (平成19年11月  長野地裁)



「エルメス」のバッグ「バーキン」の偽物がインターネットオークションで販売された事件で、詐欺などの罪に問われた東京都渋谷区の男(39)の判決公判が長野地裁であり、裁判長は、男に懲役3年執行猶予5年を言い渡した。

被告は、2006年4月ごろ、別の男(31)と共謀して、偽物のバッグを本物と偽ってネットオークションに出品。代金235万2千円をだまし取っていた。また不正入手した他人名義の健康保険証を使って都内で銀行口座を開設し、預金通帳をだまし取ったとして、有印私文書偽造・同行使と詐欺などの容疑なども含め一連の事件で5回逮捕されていた。


●偽バーバリー販売で、神戸市の親子逮捕
 (平成19年9月  警視庁池袋警察署)



インターネットオークションで偽ブランドを販売していたとして、警視庁池袋署は神戸市東灘区の自営業の男(55)と妻(57)及び、同市灘区の会社経営の長男(31)を商標法違反の疑いで逮捕し、神戸市の店舗から偽バーバリーのTシャツ78点を押収した。

被疑者夫婦は、平成16年に、韓国旅行に行った際に偽物を購入し、オークションにかけたところ売れ行きが良かったため国内で仕入れをして販売を続けたという。正規品の3分の1程度の価格で商品を販売しており、3年間で約2億円の売り上げがあったとみられる。

調べに対し、両親は「借金返済のためにやった」と供述。息子は、「父母がやったこと」だと関与を否認した。

(倉庫の様子・倉庫に保管されていたバーバリーの偽造品)

その後池袋署は、10月に仕入れ先である神戸市のAC店を捜索し、経営者の男Nを逮捕。11月には、更にその仕入れ先のAP店を捜索し、ディオールの子供用シャツ30枚を押収し、経営者の男Oを逮捕した。

(押収されたディオールのシャツ・店舗の様子)

結果、平成19年12月、自営業の男に対し、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、罰金400万円の刑が確定した。
また、AC店の経営者Nに対し、懲役1年執行猶予3年、罰金100万円の刑が確定した。




●関税法違反の3被告に有罪判決
 (平成19年10月)


偽ブランド品約10万点を和歌山県下津港などから輸入しようとして、関税法違反の罪に問われていた佐賀県唐津市の男O(55)、福岡県久留米市の男A(60)、福岡県大野城市の男T(55)の判決公判が行われた。

3人の被告は知人らと共謀し、中国からバッグなどの偽ブランド品を、2005年11月に中国から佐賀・伊万里港へ約7万2、000点、2006年1月に和歌山・下津港へ約2万9、000点を持ち込もうとしたが、いずれも税関職員に発見された。

男Oと男Aは、2005年4月ごろ、共通の知人からコピー商品販売の話を持ちかけられたことを契機に偽ブランド品を扱いはじめ、当時貿易会社を営んでいた男性Tを誘った。通関できれば、韓国のコピー商品販売業者らから1人50万円の成功報酬が支払われる約束だった。

結果、裁判官は、「企業努力で築き上げたブランドイメージを傷つけた組織的かつ悪質な犯行」として、男Oに懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円、男Aに懲役3年、罰金150万円、男Tに1年10月、執行猶予3年、罰金100万円の刑を言い渡した。



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